今日もお稽古がある。急がなくちゃと自転車を走らせた。
駅の近くの駐輪場に自転車を停め、大急ぎで階段を駆け降りていく。
衣装やら小道具やらで、リュックに手提げ鞄にと、大荷物だ。
パスケースからICOCAを出し、改札を通る。
違和感があった。
「あれ?おかしいぞ?」
いつもは自転車を降りたらすぐに、パスケースのチャックのついているところに鍵を入れる。
しかし今日はその膨らみが、無い。
「鍵・・・まさか掛け忘れ?!」
電車の中で、記憶を辿る。
暑さと焦りのせいで全く思い出せない。
落ち着け。ここで考えられるのは、
1、鍵の掛け忘れ
2、鍵を掛けた後、紛失
この2点だ。
駐輪場と言っても、管理人さんもいない無人の場所。
掛け忘れは、パクられる可能性もある。
鍵の紛失は、つい先日もやってしまった。
その時は、日傘を畳むタイミングで落としたが、すぐに気づいて通った道を辿ったため、ものの3分で見つかった。
自転車が心配だ。戻るか?
いや、もうお稽古もあとわずかしか無い。そんな貴重な時間を、鍵を掛けたか掛けていないかわからないようなことで、戻るわけにもいかない。。。
後ろ髪引かれながらも、「きっとあの子は待って居てくれている」
そう信じて、お稽古場に向かった。
シーン稽古やら、入り方の練習、打ち合わせとあっという間に時間は過ぎた。
(セリフ食べ蛙と、その蛙を食べる蛇)
電車に乗るまで、自転車の安否のことを完全に忘れていた。
自宅近くの駅についた時「あ!!自転車!!」
心臓がドキドキ言う。
待っていてくれと願う反面、きっと待っているだろうというおかしな安心感の中、駐輪場に向かう。
お気に入りの緑のミニチャはあるのか。
!
!!
!!!
「あったー!!!」
良かった良かったと駆け寄った瞬間、目に飛び込んできた。
「鍵が無いだと?」
恐らく習慣で、鍵は掛けた様子。
しかし、その先が行方不明だった。
疲れた体に、疲労感が再び押し寄せてくる。
気を取り直して、歩いた駅までの道を往復して鍵が落ちていないか探す。
何往復しただろうか。
鍵は一向に見つからない。
鞄の中も確認したが、やはり無い。
自宅にはスペアがあるので、それを使えば乗ることは可能だ。
だがしかし、一度家に戻り、スペアキーを持ち出し、もう一度自転車を取りに行く元気は、果たしてあるのだろうか。
元気な時の片道15分は容易いかもしれないが、大荷物でクッタクタの15分は、遭難しそうなくらい危険な道のりだ。
ああでも、もう帰りたい。
自転車をピックアップするのを諦めて、とりあえず帰ろう。
そのあとのことは、その時考えよう。
トボトボと20分掛けて帰った私は、今こうして王様企画のブログを書いている。
自転車の安否は確認できた。
あの子が帰宅できるのは一体いつになるのだろうか。
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